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2-5 プロスペクト理論

またまた難しそうなタイトルが出てきました。

これは行動経済学のお話ですが、行動経済学と言われても分かりにくいですね。

簡単に言うと、意思決定に関して経済的な損得が絡むと人はどのように

行動しやすいのかを理論化したものです。

ここでは、トレードの中で心理的に潜む『損をする仕組み』について学びます。

プロスペクト(prospect)という言葉は『見込み、展望、期待』と言った意味の英語です。

例えば為替レートがこの後上がるだろう、下がるだろうという見通しのことですね。

プロスペクト理論とは、見通しを立てる際に事象の確率を歪めて認識することによる

人の行動を説明したものです。

突然ですが、宝くじってご存知ですよね?(当たり前か…)

ジャンボ宝くじって7億円当たるじゃないですか?

多くの方が「そうだ」と答えると思いますが、当たったことありますか?

恐らく当たった人はこのホームページを見てることは無いと思います。

宝くじを買ったことがある方は分かると思うんですが、買ったときって

当たるといいなって誰しもが期待して買います。

ところが、年末ジャンボの当選確率って「2000万分の1」なんだそうです。

普通に考えると『当たる』といえる確率では無いです。

なんせ日本国民全員が1枚づつ買っても全国で7人当たらないんです。

各地方で1人程度の確率ですよ。

でも、宝くじを買うときは「当たるかも」なんて考えちゃいます。

これが「事象の確率を歪めて認識する」ということなんです。

FXの例を見てみましょう。

エントリー後、思惑通りの値動きになり、100万円の含み益を持っている状態を想像して下さい。

この後の値動きは分かりませんので、気持ちとしては早く100万円の利益を確定したくて

仕方ないです。

この心理は利益を確定したいのではなくて、せっかくの含み益100万円が減るのを

避けたくて、利益確定を急いでしまうのです。

これを「損失回避性」と言います。

逆に思わぬ方向に値が動き、100万円の含み損を抱えてしまいました。

本来だと「損切り」の決断をするべきところで、「また値が戻すだろうからキープしよう」

と判断してしまうんです。

そして含み損が広がって「失敗したなぁ」と後悔の末に泣く泣く損切りするのです。

これも損切りすることで含み損を確定させたくない心理(損失回避性)からの行動なんです。

つまり、利益が出ると早く利確したくて、損失が出ると損切りしたくないという心理に

行動を操られてしまうんです。

これを回避するためには、トレードに「ルール」を設ける必要があります。

特に「損切り」は不必要に損失を膨らませて早々に退場しないためにも、

必ず発注時同時決済注文(エントリー時に決済注文が自動で入る)設定を行い、

この損切り価格はどんなことがあっても広げることが無いようにしましょう。

このルールを絶対に守ることが、あなたの大切な資金を守ることに繋がります。